短編小説第一話

ちょっと続き物書いてみるわ



――heavenly day――



目が覚めても隣に人はいない。だけどほのかに残る温もりがつい先程までそこに人がいたことを教えてくれる。
どれぐらい時間が経ったのだろうか…外は黒く変化していって、私の心も闇で覆う。


今日も拒みきれなかった。イケナイ関係だってことは分かってる。分かってる…。
なのに最中のあの人の声と瞳を知っているから拒めない。




――愛理…愛理っ…!




名前を呼ぶ声は切なげで、いつもみたいな余裕なんてなさそうで、私を引き止めるような叫び。
そして決まってその瞳は不安げに揺れていて…




だからダメだと思っていても拒めない。

あの人にとって、私の存在はなんなのだろう。
好きだとか愛してるなんて言わないし聞かない関係だから分かんない。


行為の後、私が疲れて眠っている間にフラリと消える。感情なんてないような行動。
でも決まって私の体をキレイにしてから消える。だから目が覚めてもアレは夢だったのかと錯覚する。
だるさと鈍痛が事実だと教えてくれるけど。




私にとってあの人は…


この先の言葉なんて言えない。


あの人には『彼女』がいる。女同士なんておかしいけど、女子校だからそういう人がいてもおかしくはない。
それに優しくて面白くてカッコよくて可愛くて人気者。
あの人の彼女は私とも仲良くて…だから尚更言えない。


それでも募る感情。


好意は抱いてた。
関係を持ってからそれが色濃くなってきた。
その時だけは私を見てくれる嬉しさ。


愛情なんてない行為。それでも心はあの人への気持ちが溢れて。




――好き…




決して口に出せない気持ちを心の中で呟く。
自然と涙が零れる。




――涙と一緒に気持ちも流れて消えてしまえば良いのに




冷たくなりつつある布団にくるまり必死に想いを押し出す小さな体をあの人は知らない…
あなたの温もりを必死に体に刻もうとしてるなんて知らない