「舞美と愛理は許婚っぽい」スレコピペその4

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217 :名無し募集中。。。:2008/01/10(木) 22:14:14.16 O


今日は愛理が放課後にバレエの自主練習をすると決めている日だった


昨日はそのまま梨沙子と色々な話をしながら帰った


梨沙子は空想の話が上手く、そういう類の話をするとき
愛理はいつも二人で宙に浮いて遊んだような気分になる


昨日は童話に出てくる魔女に自分がなったらという空想をした


それから珍しい事に梨沙子は絵画の話もした、そして舞美との話をずいぶん聞きたがった
梨沙子は普段あまり二人の関係にさして興味は持っていなかったのだが


でもとにかく楽しかった


そして愛理は昨日を思い出しながらトウシューズに足を入れた




240 :名無し募集中。。。:2008/01/11(金) 23:40:47.66 O


「痛っ」


愛理はトウシューズを弾くように脱いだ
爪先には赤い小さな点が出来ており、トウシューズから零れた画鋲は西日に当たって光っていた
それは自然に入り込むなんてありえないのだ


だから、多分、誰かが


言いようのない不安を感じて、気がつけば愛理は逃げるように学校を出ていた
こんな時考えるのは舞美の事ばかりだった


舞美・・・舞美・・・


そうしていつも二人で歩く土手にたどり着くと奇跡ののように舞美がいた


「舞美さん!」
「愛理・・・」


愛理は顔を見ただけで少し涙が出てしまった
足は痛むが懸命に笑顔を向けた




242 :名無し募集中。。。:2008/01/12(土) 00:01:31.40 O
「愛理、どうしたんですか」


舞美が心配そうに愛理の側に走った


「いいえ、あの・・・何も・・・ただ偶然会えて嬉しかったので・・・」


それを聞き舞美も嬉しそうに笑う、愛理はこの楽天家のような爽やかな笑みが好きだった
見ていると不安なんて消えてしまう。小さい頃からずっと励まされてきた


何も言わないでよそう、まだ誰かにされた訳と解らないし、今は困った顔は見たくない
そう愛理は思った
それはいつでも舞美が守ってくれるという安心感から来たものかもしれない




248 :名無し募集中。。。:2008/01/12(土) 03:47:18.68 O


「ごらん、もう陽が落ちるね・・・そこに少し座ろうか」


座るのに適当な場所を見つける
愛理の制服を汚さぬようにと配慮した舞美はそっと自分のハンカチを愛理の腰掛けるその下に敷いた




舞美は何時も愛理を大事に扱う
舞美は気付かないが愛理はその度にはにかみ頬を染めている




249 :名無し募集中。。。:2008/01/12(土) 03:52:07.44 O
ゆるゆると水面に融け始める夕陽を眺める舞美
その端麗な横顔に愛理は何度も息を呑んだ


そもそもこんなに近くに舞美が居る・・・
その事実だけで愛理の心臓が激しく高鳴る






夕陽に照らされた舞美の髪は何時もよりも舞美に柔らかい印象を与える


ときに強い眼差しを中和するように生える優しげな睫毛


血色は強くしかし決して主張しすぎない寡黙な唇


そして細く透き通った首筋




舞美という人間の輪郭を構成するその全てに愛理は焦れるような息苦しさと甘い切なさを覚える




250 :名無し募集中。。。:2008/01/12(土) 04:05:55.96 O
これまでも愛理は舞美のことを恋い慕ってきた筈だ
しかしそれは強い憧れに近いところにあったのだと思う


だが今得た感情はそんな今までの感覚とは何処か違った気がした
愛理の中のもっと深い部分の生温い感情


(何なの、この気持ちは・・・)






¨・・・愛する意味を、少し考えてみた・・・
・・・十年そこらでもわかることかしら・・・¨






舞美がくれた本の一小節をふと思い出した






253 :名無し募集中。。。:2008/01/12(土) 06:51:19.28 O
舞美と過ごした数分、あまり言葉は交わさなかったが愛理の心は温まった。
画鋲や足のチクチクした痛みもその時は忘れてしまっていた。
舞美さんありがとう。愛理は心から感謝し暗くなりかけの空を見上げた。


だがもし舞美が疲れて傷ついていた場合、ただ自分がそこにいるだけで慰めになるだろうかと考えた
それは少し不安だった。


「あの・・・」


「ん、どうしたの。」


端正な横顔から優しい笑顔に直ぐさま変わる。
愛理の心臓はまた高鳴った。


「私といて楽しいですか」


舞美はきょとんした顔をしたが勿論、と頷いた。




254 :名無し募集中。。。:2008/01/12(土) 07:13:33.04 O
「当たり前だよ、どうしたのさ」


「だって、私はまだ幼いし、お話だって合わないかもしれないし、それに」


舞美はまた愛理をじっと見つめ、頭をに手を置いた


「愛理、私は愛理が世界で1番大切だよ、幼い頃君と許婚になった、
 あんな時に私の人生に大きな意味が足されたんだよ、これはとても幸せな事だ
 だからどんな時でも愛理のことを考えると人一倍頑張れてこれた
 それに・・・今日も会えて本当に嬉しかった。」




舞美の顔は真っ赤だった、勿論愛理の頬も
よくわからないけど自分も舞美に必要とされてると感じて嬉しかった






258 :名無し募集中。。。:2008/01/12(土) 08:09:17.66 O
「もう帰ろうか」


恥ずかしかったのか舞美は勢いよく立ち上がり少し滑った
舞美は馬鹿だなあ、と愛理は思った。でもそんな真っ直ぐで誠実で少し馬鹿なところが
多分、まだよく解らないけど、愛しいというのだろうか・・・


舞美は鈴木家で夕飯をとらずに帰った
愛理は布団の中で今日のいろいろな事を思い出した。画鋲はまだ心のどこかに引っ掛かっていた
もし故意なら誰かの悪意を持たれているということだ、心も体も傷つけたいくらいに






259 :名無し募集中。。。:2008/01/12(土) 08:34:34.66 O
枕元の舞美がくれた本を手に取る
装丁が凝っているから少し凹凸があり、撫でていると心が少し穏やかになる


しかしこんなにも心が舞美頼りなのはどうだと自分を戒める
自分は将来舞美の支えになって共に生きて行かなければいけないのだ


ああ、そういえば座布団にしてもらったハンカチ…洗わずに返してしまった…呆れられただろうか…


いい妻になれるよう努力しなくてはいけないと愛理は思った


「・・・舞美さんのいい奥さんになれますように」


暗い部屋、誰にでもなく声に出して祈ると隣の襖から弟の笑い声が聞こえた